当院では、視触診、マンモグラフィ、超音波検査による乳がん検診を行っています。
それぞれの検査および精密検査として行う、細胞診と組織診(針生検)についてご説明します。
乳房専用のX線撮影装置です。乳がんを早期発見するための最も有効な画像診断装置の一つです。
乳房を透明な圧迫板ではさみ撮影します。出来るだけ乳房を広げて撮影したほうが、重なった乳腺組織の間に潜んでいる病変を見つけやすく、診断に有効な写真が撮れるためです。
今までのマンモグラフィは、1方向あるいは2方向からの撮影だけでしたが、3Dマンモグラフィは、複数の角度から乳房を撮影する新しい撮影技術です。
様々な角度から撮影し3D画像(立体的な画像)を作ることで、従来の検査よりも乳腺の陰に隠れた小さな病変が見つけやすくなります。
1. いつ撮影するのがいいの?
乳房を圧迫するので、乳房が張っている時期は避けたほうがいいでしょう。
生理が終わってから1週間後くらいの乳房の張りや痛みがなくなり柔らかい状態の時がお勧めです。
2. どのくらい時間がかかるの?
検査にかかる時間は、更衣から撮影終了まで10分~15分程度です。
圧迫板という板で乳房をはさみ撮影をします。片方の乳房に対し2方向(2回)の撮影を行います。
3. 注意することは?
妊娠中の方、ペースメーカーが入っている方、豊胸術を受けている方は通常検査が出来ません。
以前うけた手術の傷跡、ほくろやいぼ、ご自身で気になる症状などがありましたら技師にお伝えください。
乳房に超音波を当て、その反射波を画像化することで乳房の内部構造を調べる検査です。乳房の皮膚にジェルを塗り、プローブと呼ばれる装置を皮膚に直接当てて検査を行います。
マンモグラフィでは、日本人を含むアジア女性に多いとされる"高濃度乳腺"は全体が"白っぽい"画像になり、やはり"白く"写るしこりが見逃される恐れがあります。
超音波検査では、"高濃度乳腺"でもしこりは"黒く"写るために見つけやすく、がんの検出率が高いとされています。
エラストグラフィとは、超音波検査で組織の硬さを画像化する技術です。
超音波検査で見つかった病変の硬さを調べることで、その病変が良性か悪性かを診断する助けとなります。
マンモグラフィや超音波検査でがんを疑う異常が見つかった場合には、穿刺吸引細胞診や針生検を行います。
超音波検査で病変を確認しながら、採血などに用いる細い針をがんが疑われる病変に刺して吸引し、細胞を採取する検査法です。
針が細いため、出血などの合併症が少なく、局所麻酔は行いません。
ただし、後述する針生検と比較すると、がんである病変をがんと診断できない割合やがんでない病変をがんと診断してしまう割合がやや高くなります。
穿刺吸引細胞診よりも太い針(直径1.5~2mm程度、鉛筆の芯くらい)を、病変に刺して細胞の塊(組織片)を採取する検査法です。
穿刺吸引細胞診と同じように、超音波検査で病変を確認しながら行います。
太い針を刺すため、穿刺する部分に局所麻酔の注射を行いますので、局所麻酔でアレルギーがある方は申し出てください。
出血をする場合があり、皮下に血の塊(血種)が出来たり、皮下出血が広がって青黒くなったりすることがありますが、数日~2週間程度でほとんどの場合治っていきます。
組織片は、ホルマリンで処理を行い、顕微鏡で専門医(病理医)により診断されますので、結果が出るまで1~2週間かかります。
細胞診より確実な診断を付けることができますが、それでも100%の確率ではありません。
画像診断ではがんを強く疑う病変でも、ごくまれに針生検ではがんと診断されないことがあります。その場合VAB(画像ガイド下吸引式組織生検)を行うことがあります。